こんにちは、理学療法士・ボディワーカーのDaisukeです。
今回はDibs®︎運動連鎖∞整体の視点からみた歩行の理解②です。

目次(Contents)
肩甲帯〜胸郭・脊柱の運動連鎖

まずは、肩甲帯〜胸郭・脊柱の運動連鎖についてみていきましょう。最初にピンク色の矢印についてです。肋骨の形状と付着部をみてみるとその骨軸の運動は対側の鎖骨へと繋がっていきます。歩行時の立脚側の運動方向はピンクの矢印方向に伝わっていくのですが、前回の記事でもご紹介した通りこの肋骨からの力の伝達が脊柱回旋時の後方の要素(遊脚下後鋸筋-立脚股関節内転筋-ハムストリングス-下腿後面-足底)へと繋がっていくのです。これによって歩行中の脊柱の軸回旋がなされるます。
そして、この脊柱の回旋を前方への推進へと統合していくためには、その運動を統合するための相対的な力が必要になります。上の図では右立脚で脊柱は左回旋するのですが、相対的に右の肩関節が外旋しています。(そして左の肩は内旋し、これも相対的に後ろへの力の統合をつくっています。)歩行中の立脚においては脊柱の対側への回旋と同側の肩の外旋がセットで生じ、遊脚においては脊柱の同側への回旋と同側の肩の内旋がセットで生じます。このシステムが破綻してしまうと、力の統合がなされないため、前方への推進が円滑に行われなくなってしまいます。
そして立脚ということは立脚の股関節の屈曲位(踵接地)から立脚後期にかけての股関節の伸展とも関係性があるということになりますね。そして骨盤帯との関係性も目が離せません。また、遊脚側の下肢でも脊柱の回旋時 の力を前方へ統合していく力が働いています。これは遊脚前期から遊脚後期にかけての股関節の内転です。この股関節の内転はさらにその股関節の外旋の動きによってさらに前方への力の統合へと調整されています。
このように力は統合されることで、歩行中の前方推進力をつくりだしているのです。この視点があれば、さらに歩行中の力の統合やその統合のための要素をみていくことができるようになりますよ。
脊柱の回旋と運動連鎖

前項でもお伝えした、歩行中の脊柱の軸回旋における前方の要素と後方の要素を細かくみていってみましょう。
上の図のピンクの矢印に着目してみましょう。これは歩行中の右立脚を表しています。右の下部肋骨からは対側の鎖骨と対側の骨盤・股関節に向かって矢印が伸びていますね。
この鎖骨へ伸びている矢印は主に前鋸筋の役割を示しています。そして、対側の骨盤・股関節へ伸びている矢印は腹斜筋群の役割を示しています(この図では右の外腹斜筋と左の内腹斜筋)。
これらの矢印を統合してみると、下部肋骨は鳩尾に向かって閉じる方向へ動いていきます。そして脊柱は屈曲や伸展を伴うことのない軸回旋の方向への力へと統合されていきます。この統合の矢印は前方の要素における軸回旋の要素になります。
これに対して右の図では後方の要素を表しています。これは右の鎖骨への矢印(前鋸筋の役割)がそのまま後方へと峠を越したように移動してくるものです。この矢印は肩甲骨の下角を下方へ下げる方向への矢印となり、その矢印は骨盤帯を交差して対側の股関節へ向かっています。これは上の図で言うと左の下後鋸筋の役割を示しており、股関節部では内側ハムストリングスと股関節内転筋群の役割を示しています。これは後方の軸回旋の要素となるため、前方の軸回旋の要素と後方の軸回旋の要素が相互に関係しながら、立脚側の下肢へ統合されていくことで、片脚立位でのバンスの保持下での脊柱の軸回旋を起こすことが可能になるのです。
また前方の軸回旋要素において、対側の骨盤・股関節へ向かう矢印は遊脚側の下肢と脊柱の軸回旋の力を統合する役割を担っています。この立脚側と遊脚側の前方要素が相互に関係することによって、歩行時に下肢を前方推進方向へ接地していくことが、より無識的に可能になっているのです。
ヨーガのアーサナやピラティスのエクササイズ、運動療法下においてこれらの視点があることによってバランス機能や動きを促すことによってその先にあるものを能動的に予測しながら見ていくことができるようになりますよ。
腹斜筋の走行

では次に腹斜筋の走行を細かく見ていってみましょう。外腹斜筋は下部肋骨の前方から下方へ走り、対側の内腹斜筋と連結し、腹部の前方安定性の保持や、脊柱の回旋を起こす筋肉の印象が強いのではないでしょうか。
ここで重要なのが、腹斜筋は腹部の後部と側部にも付着しており、後方の要素や側方の要素もになっているのです。
Dibs®︎運動連鎖∞整体では腹斜筋を後腹部、側腹部、前腹部と定義してその機能を明確に見ていきます。前項でもお伝えしたのですが、腹斜筋は後部線維、側方線維、前方線維の全ての線維が統合して働くことで、前項でお伝えしたような前方の脊柱の軸回旋の要素を構成していくことができるのです。一部の腹斜筋の機能だけでは脊柱の軸回旋を引き起こす機能は達成されませんし、軸回旋における、前方の要素と後方の要素を構成していくことができないのです。
実際には、腹斜筋の後部、側部、前部の線維全てが機能していなければ胸腰部・骨盤帯の安定性は確保されません。
腹斜筋は名前こそ単一のものですが、その機能を後腹部、側腹部、前腹部へ分けてみることによってより脊柱における安定性の視点を後方安定性、側方安定性、前方安定性という視点に分けて見ていくことができますし、水平面上での要素を捉えていく時にも、この視点を持ち合わせているだけで機能の解釈も明確に行なっていくことができますよ。
立脚と遊脚の協調

立脚と遊脚の協調については、立脚側の肋骨部から対側の鎖骨・対側の骨盤帯への矢印が前々項ではありましたね。対側の鎖骨へ向かった矢印は対側の肩甲骨の下から対側の股関節へ、そして対側の骨盤帯へ向かった矢印は遊脚側の下肢との連動へと繋がっていくという事でした。
ここではもう一つの矢印をご紹介します。立脚側の踵骨から立脚側の下部肋骨へ(上図ではピンク色の矢印)、そして対側の鎖骨から肩甲骨へ(ここからは前々項でご紹介した矢印と同じ)と繋がっていく矢印です。そしてこの肩甲骨から立脚側の骨盤の前面へ向かう矢印(青い矢印)が追加になります。この青い矢印は前々項でお伝えした、下部肋骨から対側の骨盤帯への矢印と同じです。ピンク色の矢印から緑色の矢印と青色の矢印へ繋がっていきます。
上の図でのピンク色の矢印は詳細には床半力から伝達される力でもあります。この床半力を加味すれば緑色の矢印が向かった先にある床からの半力はその床半力が下肢後面を上行し、仙骨から立脚側の下部肋骨へと力が伝達されその力は再度立脚側の下肢後面へ(緑色の矢印)と伝達されていくのです。
つまり、床への力の伝達の力と床からの半力の力はそれぞれ歩行中における立脚と遊脚の双方に関係しており、立脚側、遊脚側それぞれがそれぞの力の補填にもなっているということが重要になってきます。
歩行中においてこの力の伝達をみていくことで、より機能の状態を明確化していくことができるようになりますよ。
動きの統合と運動連鎖

最後に歩行における動きの統合と運動連鎖についてです。
これまでで、述べてきましたが、前方への推進をしていくためには前方への力学的な統合が必要になります。脊柱の回旋においても軸回旋がなされていなければ歩行中に前後の動揺が大きくなってしまい、代償動作での前方推進となってしまうでしょう。このような動きの統合は身体の中心部から末梢にてなされています。脊柱の回旋に対してその立脚側の肩関節は外旋し、回旋力に対して力の統合をしていますし、遊脚の股関節も脊柱の回旋力を統合することで下肢を推進方向に振り出し、接地することができています。
この力学的な統合の土台として位置しているのが、踵、足関節、前足部といった歩行中の足部のロッカー機能です。
前方へ推進するための力の統合とその土台は前方へ推進しやすくなるようにロッカー機能が備わっている。これらのことによって、歩行中における運動エネルギーと位置エネルギーの変換が円滑に行われ、効率的な動きを達成することができるのです。
逆に言えば、これらの機能が破綻してしまっている状態であれば非効率的であり、代償動作を招きかねません。
全ての機能が繋がっているということが少しずつ明確になってきましたね。
Dibs®︎運動連鎖∞整体アカデミーではこの歩行について、さまざまな動作との関係性や関連性をより詳細に評価をしながら、臨床の実践に繋げていける勉強会を行なっています。
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Daisuke Nobuchika
・Bodywork Salon Compasses代表
・Somatic Neutrality®考案者
・Dibs®︎考案者
・Innate Pilates®︎考案者
・理学療法士
・Somatic Experiencing™ Practitioner(SEP)
・DARe Practitioner
・Somatic Experiencing™︎ マスタークラス Eye of the needle(Ⅰ&Ⅱ)修了
・Somatic Experiencing™︎ マスタークラス 慢性疼痛と症候群 修了
・Sequencing Workshop 修了
・Yoga Teacher(Kaivalyadhama Yoga Institute Certificate Course in Yoga修了)
・Somatic Resilience and Regulation®修了
・DE GASQUET®INSTITUT基礎講座、ぺリネのABC受講修了
広島県福山市出身。小学校から社会人にかけてバスケットボールに積極的に取り組み、全国大会やAll Japanに出場。高校生の時に人の役に立つ仕事に就きたいという思いと部活動のトレーナーが理学療法士であることもあり、理学療法士を志す。2011年、理学療法士免許習得。総合病院、整形外科病院在籍中にピラティス、ヨガに出会う。2017年ファンクショナル ローラー ピラティス マスタートレーナーコース修了。2022年SEP取得。同年SRR修了。2023年Kaivalyadhama Yoga Institute Certificate Course in Yoga修了。現在、理学療法士とサロンでのセラピストとして活躍中。 また、臨床中に患者様と関わる中で「病気になる前の予防の重要性」を感じ、『病気に囚われない予防の実現』を人生のテーマに日々邁進している。
Bodywork Salon Compassesとは
こころとからだの指針を紡ぐBodywork Salon Compassesではヨーガとピラティスなど心身のアクセスを通じた心身コンディショニング・姿勢の改善、タッチセラピー(マッサージ、整体)による痛みのケア(関節痛、首痛、頸部痛、首コリ、肩凝り、背部痛、腰痛、股関節痛、膝痛、足痛や足部の変形:外反母趾など)、循環改善・むくみケア、姿勢と歩きの改善を行っています。ホームページではセッションの内容や料金について詳細がわかりますので、「ホームページはこちら」をクリックしてのぞいていみてください。
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