運動連鎖整体®︎ ブログ0.06 〜症状の捉え方〜

こんにちは。理学療法士、ボディワーカーのDaisukeです。

今回は、運動連鎖整体®︎における臨床症状の捉え方についてご紹介していきます。

炎症期の捉え方

 まず、症状を炎症期の中での急性炎症と慢性炎症に分けてみましょう。
 ここで重要なのが、いつの時期までが急性炎症で、いつの時期からが慢性炎症というように時期で区切るわけではないということです。慢性炎症の中でも急性炎症を繰り返しているようなパターンもありますし、慢性炎症が背景にある急性炎症もあるわけなのです。

 ここでは、ホルモン分泌の違いから、急性炎症と慢性炎症を区分けしてみたいと思います。つまり、背景としてどのようなことが起こっているのかどうかを理解した上で、炎症期を捉えてみようということです。

 まずはSAM系です。SAM系とは視床下部ー交感神経ー副腎髄質系(Sympathetic nervous adrenal medullary system:SAM系)のことであり,ストレスに対して素早く反応する系です。この系では副腎髄質からカテコールアミン(アドレナリンやノルアドレナリン)が放出され,血圧上昇,発汗,血糖上昇,覚醒状態となります。この系は「闘争/逃走」の状態へと移行する働きをもちます。つまり急性炎症に関わります。

 次に、HPA系です。HPA系とは視床下部ー下垂体前葉ー副腎皮質系(Hypothalamic pituitary adrenal:HPA系)のことであり,この系では副腎皮質からコルチゾルが放出されます。SAM系よりは反応は遅いが,血圧上昇,血糖上昇,炎症抑制などの影響を与えます。HPA系の機能の調整には脳内の副腎皮質ステロイドホルモン受容体が重要な役割を担います。この受容体によってHPA系に対してネガティブフィードバック機構が働き,過度にHPA系に刺激が加わらないように調整されています。

 長期的あるいは過剰なストレスは,HPA系の過活動を引き起こし,疾患における脆弱性の構築や易罹患性につながると考えられています。

 HPA系とSAM系の特徴を下の図に示します。

 次に痛みの神経線維の特徴についてです。
 神経線維の特徴ではAδ線維とC線維という2つの神経線維が痛覚神経として知られています。特徴としては、Aδ線維は有髄神経であり、直径は2〜5μm、伝導速度は12〜30m/sec。C線維は無髄神経で直径は0.4〜1.2μm、伝導速度は0.5〜2m/secです。

 まとめると、急性炎症はSAM系とAδ線維→C線維。慢性炎症はHPA系と主にC線維ということになります。

 運動連鎖整体®︎ではS-O-Rの原則を考慮しますが、このR:反応については、症状が出現している場合、急性炎症の特徴があるのか、慢性炎症の特徴があるのか。この炎症期の特徴は組織の状態に起因しているのか、ホルモンの状態に起因しているのか、はたまた両者の特徴があるのかという部分にも視点を向けていきます。
 これはなぜかと言うと、最初にもお伝えしたとおり、急性炎症と慢性炎症は相互に原因となっている場合もありますし、身体の連動性の結果としてや、運動のパターンの結果として炎症初見へ繋がっている事もあるためです。

 炎症初見の捉え方一つでも、何が影響しているのか、何に起因しているのかと言うこのブログで後にお伝えします、5W1Hの考え方を活かすことができると言うことですね。

組織の修復過程の捉え方

 組織の修復には主に3つの過程があります。炎症期、修復期、再構築期です。炎症期は2〜5日程度続き、その中で血管収縮、血管拡張、血餅形成、食作用といった過程を辿ります。修復期は約3週間継続し、肉芽組織の形成、線維・コラーゲン生成、創傷部の収縮、血管新生が起こります。再構築期は非常に幅が大きく2年以上経過する事もあり、コラーゲン線維の合成と溶解バランス、コラーゲン線維の定着、創傷治癒といった流れになります。
 大まかに言えば、この3つの過程を辿るのですが、組織によってはこの時期が異なったり、本来の修復能力に個別性があるので、あくまで大まかです。組織ごとの修復過程の詳細と、その組織の修復過程ごとにおける、運動連鎖整体®︎でのアプローチ方法はまた、後日のブログや研修会の中でご紹介していきますね。

 話を戻しますと、症状が出現している場合には、この3つの時期のどの時期にその組織が今あるのかと言うことを把握する必要があります。これは適切にリスクを最小限にし、最短で本来の組織の治癒能力を引き出すためです。特にここで役に立つのが運動連鎖整体®︎におけるパルペーションテクニックです。
 パルペーションテクニックを使用することで、組織がどのような状態なのかを把握することで適応を判断していきます。言わば組織修復の環境を整えるために何をするかと言う部分です。

 これらのことを応用として行うことで、炎症期ごとの組織の状態の判断とその組織における関わりの判断を行うことができるようになりますよ。

 そして、組織自体のリカバリー能力がいか程なのかという部分も把握していく必要があります。これは自律神経系のキャパシティや年齢、個々の代謝機能によっても異なります。生理学的にはホメオスタシスと言いますが、この個々のホメオスタシスを把握していく必要があるのです。この機能の把握に関しては、今の生体反応としてどちらの方向に向かっているのかどうかがポイントです。刺激に対して、反応が早いのか、緩やかなのか、その反応が生じている時の循環系や呼吸器系の状態はどうなのかといった様々な反応性の部分をその瞬時瞬時に把握していく必要があるのです。予後予測やプログラムの立案の際にも非常に役立ちますよ。

アライメントの捉え方

 次にアライメントの捉え方です。アライメントとは、骨同士で言えば、相互の位置関係のことです。ある一方の骨に対して他方の骨はどの位置にあるのかと言うことです。
 上記では「マルアライメント」と「リアライメント」をご紹介しています。マルアライメントとはアライメントが崩れている状態であり、生理的で効率的な関節運動がなされない骨同士の関係性になっていると言うことです。リアライメントとはアライメントの修正がなされている状態です。つまり、関節のニュートラルが保たれ、生理的で効率的な関節運動が可能な骨同士の関係性であると言うことです。
 マルアライメントの例で言えば、変形性関節症もマルアライメントの一例になります。脱臼も含まれます。

 このアライメントと言う骨同士の関係性を考える時には、関節のモビリティとスタビリティの両方の視点が必要になります。このモビリティは「動き」自体とその「動き」の組み合わせの「自由度」によりそのモビリティの量的・質的なアセスメントを行います。スタビリティはモビリティの中での一時的もしくは連続的な軸の中で構成される関節のキャパシティを規定するものです。このスタビリティがなければ、関節は不安定な要素を持ちながら、どこまでも動いてしまいます。
 モビリティやスタビリティを構成するのが、関節を構成する骨、関節包、靱帯、筋肉(筋肉の筋緊張)、周囲を走行する血管や神経、内臓系などです。

 つまり、マルアライメントである時には、その骨同士の関係性と関節運動、そして周囲の軟部組織の状態の把握が必要不可欠になると言うことになります。
 ここでの、マルアライメントの捉え方については、別の記事で関節内の骨の関係性の捉え方をお伝えしていきます。

 アライメントを捉えることで、同時の一瞬一瞬の質を捉えることができますし、事項でお伝えしていく5W1Hの概念を関節運動の評価に取りいてれいくことも可能なりますよ。

症状(5W1Hの視点①)

 では、次に臨床症状の捉え方として「5W1H」の考え方をお伝えします。
 まずは、3つのW:When(いつ)、Where(どこで)、Who(誰が)についてです。
 症状をWhenで捉えてみましょう。その症状がどの時間帯で生ずるのか、どれくらいの期間続いているのか、症状が生ずるタイミングとしてはどのようなタイミングなのか(季節や何かの事象が生じた時など)を考えてみると言うことです。このWhenの視点で捉えてアセスメントすることだけでも、その症状のパターンの背景を把握することができます。

 次にWhere(どこで)についてです。症状をWhereで捉えてみましょう。どこでと言う言葉を周囲の環境がどのような環境でと変換してみると、その環境下に身体がある際の症状であると言うことが把握できます。これは身体自体の記憶としてその環境下での感覚が想起されることによって症状が出現していると言うことになります。

 次にWho(誰が)についてです。ここでは症状の原因部位として考えてみるといいでしょう。症状自体も関連部位があり、繋がっていることが多々あります。症状が生じているのはその症状がある部位に加えて、他に原因部位があることもあり、この部位の把握が非常に重要です。パルペーションテクニックではこの症状→原因部位の把握をしていく事も行なっていきます。

 これら3つのWについて、症状部位との関係性・関連性を把握するためにも非常に重要な視点ということができますね。
 これらを把握することで、運動療法に運動連鎖を繋げていく際にもどのような状況をセッティングして、どの部分に意識を向けて、より明確に運動療法を進めていくことができますよ。

症状(5W1Hの視点②)

 それでは、次に2つのW:What(何が)、Why(なぜ)と1つのH:How(どのように)についてです。
 まずは、What(何が)についてです。これは症状自体が生じている組織のことです。具体的な組織であり、その症状が生じている大きさ、幅、深さも含みます。1つの組織の事もありますが、2つ3つと重複している事もあります。もちろん部位が遠く離れている事もあります。このWhatについては、症状に関係している部位を列挙していくような形なので、実際に現在は症状を発していない事もあります。症状自体も一次的なものから二次的なものもありますので、症状を発している組織からその経歴も辿っていく必要があります。
 次に、Why(なぜ)についてです。なぜの部分では背景を中心に捉えようとしているということを念頭に置いてみてください。その症状の理由です。それは過去からきているものかもしれませんし、環境がその理由かもしれません。症状が出現している背景としての理由が1つです。そしてもう一つが、症状が出現している組織がどのような状態であるが故に症状が出現しているというものです。メカニズムと言ってもいいでしょう。そしてその状態と背景を知ることができれば、セラピスト自身も今何をするべきか、何を先に考え今何に取り組むか、何を伝えるべきかなどが明確になっていきます。「なぜこの症状が出現しているのか」は常に念頭に置いておく必要がありますね。
 次にHow(どのように)についてです。どのようにという部分ですが、メカニズム自体に再現性があるかどうがと捉えてみるよいいでしょう。あくまで症状の捉え方とアセスメントですので、自身の予測値を実測値に変換できるかどうかを確かめる必要があります。臨床上では症状の再現性と言いますが、理学的所見ではこの再現性を主にみていくものです。再現性が明確になれば、その症状が生じているメカニズムや、どのようなストレスがその症状の起因となっているかを明確にしていくことができますよ。

症状の繋がり

 最後に症状の繋がりについてです。臨床では、ある症状が消失や緩和に近づいていくにつれて他の症状が再燃したり、出現したりすることがあります。ですので、一概に今出現している症状自体はその症状単体ではない可能もあるのです。他の症状が潜んでいる事もありますし、はたまた症状の緩和によって新たな症状が出現してしまう事もあります。
 ここでのポイントが芋づる式になりがちなこの追いかけっこを止めるには、症状を追いかけるのではなく症状が生じている組織のフェーズを深めてみることが重要です。組織自体のキャパシティが十分あり、動きや刺激に対して、内側前頭前皮質によるボトムアップ情報の関節とアウトプットの調整がなされていれば、反応に対して適応することができるためです。
 症状をみていくことは重要なのですが、その症状の渦に巻き込まれ、混乱しない(カオスな状態にならない)ためにセラピスト自身は止まった状態で症状から少し距離を置いてみていく姿勢が重要になるのです。自分自身の安定化と自分自身の状態のトラッキングが重要であるということですね。

今回も、最後まで読んでいただきありがとうございました。

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この記事を書いた人

Daisuke Nobuchika

・Bodywork Salon Compasses代表
・Somatic Neutrality®考案者
・Dibs®︎考案者
・Innate Pilates®︎考案者
・運動連鎖整体®︎考案者
・理学療法士
・Somatic Experiencing™ Practitioner(SEP)
・DARe Practitioner
・Somatic Experiencing™︎ マスタークラス Eye of the needle(Ⅰ&Ⅱ)修了
・Somatic Experiencing™︎ マスタークラス 慢性疼痛と症候群 修了
・Sequencing Workshop 修了
・Yoga Teacher(Kaivalyadhama Yoga Institute Certificate Course in Yoga修了)
・Somatic Resilience and Regulation®修了
・DE GASQUET®INSTITUT基礎講座、ぺリネのABC受講修了
広島県福山市出身。小学校から社会人にかけてバスケットボールに積極的に取り組み、全国大会やAll Japanに出場。高校生の時に人の役に立つ仕事に就きたいという思いと部活動のトレーナーが理学療法士であることもあり、理学療法士を志す。2011年、理学療法士免許習得。総合病院、整形外科病院在籍中にピラティス、ヨガに出会う。2017年ファンクショナル ローラー ピラティス マスタートレーナーコース修了。2022年SEP取得。同年SRR修了。2023年Kaivalyadhama Yoga Institute Certificate Course in Yoga修了。現在、理学療法士とサロンでのセラピストとして活躍中。 また、臨床中に患者様と関わる中で「病気になる前の予防の重要性」を感じ、『病気に囚われない予防の実現』を人生のテーマに日々邁進している。

 

Bodywork Salon Compassesとは

こころとからだの指針を紡ぐBodywork Salon Compassesではヨーガとピラティスなど心身のアクセスを通じた心身コンディショニング・姿勢の改善、タッチセラピー(マッサージ、整体)による痛みのケア(関節痛、首痛、頸部痛、首コリ、肩凝り、背部痛、腰痛、股関節痛、膝痛、足痛や足部の変形:外反母趾など)、循環改善・むくみケア、姿勢と歩きの改善を行っています。ホームページではセッションの内容や料金について詳細がわかりますので、「ホームページはこちら」をクリックしてのぞいていみてください。

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