運動連鎖整体®︎ ブログ0.04 〜パルペーションテクニック〜

こんにちは。
広島県福山市でボディワークサロンをしていますDaisukeです。
今回は運動連鎖整体®︎におけるパルペーションテクニックについてご紹介します。

今回は長編になりますが、運動連鎖整体®︎におけるパルペーションテクニックの視点を余すことなく書き記しているので是非ゆっくりと読んでいただければと思います。

パルペーションとは

 パルペーションとは、「触察」と言われます。触れて状態を察するということです。目には見えにくい部分であり、見えてもわずかな変化や偏位が見受けられる程度であるため、実際には、触れること+視診でアセスメントを行なっていきます。このパルペーションは運動連鎖整体®︎において必須と言っていいほど必要な技術です。今までお話ししてきたことを実際に使うという場面に直面した時に、パルペーションができなければ、使用することができません。料理で言えば、材料はあるのに、フライパンや鍋がない(→つまり料理ができない)というようなことに喩えることができます。
 このパルペーションには静的パルペーションと動的パルペーションの2種類があります。
 静的パルペーションとは動作が起きていない状態でパルペーションを行う技術です。動作の一瞬(カメラで一コマを切り取った瞬間)や姿勢の保持の際に使用することができます。また、安静時の関節の状態や筋肉の状態、拍動や脈拍などと流れ、緊張など自律的に行われているシステムの把握にも使用することができます。
 動的パルペーションとは実際に動作が生じている場合に使用することができるパルペーションです。上記では動作の一瞬を表現していますが、静的パルペーションが連続して行われると動的パルペーションの評価にもなっているということです。動いている関節や動きに伴う心拍などの変化を把握する際に使用します。動作の誘導や評価の際にもこのモーションパルペーションを使用します。
 実際の臨床場面では、この静的パルペーションと動的パルペーションは明確に判別して使用することはなく、同時にもしくは、左右の手で別々に行うことが多々あります。
 このパルペーションですが、単に触れるのではなく、たくさんの要素が含まれています。
 今回のブログでは、パルペーションを使用していく際にどのような視点で使用するのかという部分を中心にご紹介します。次回のブログではパルペーションテクニックにおいて実際にはどのように使用するのかという具体的な部分をご紹介します。
 このパルペーションができれば、同じアセスメント、アプローチでも状況把握や状態把握のレベルを格段に上げることができるため、全体的な質を向上させることができます。
 是非、習得しきれるまで、練習と自己研鑽に励んでみてください。

パルペーションテクニックの詳細

 このスライドではパルペーションを行う際に、持ち合わせるべき視点についてご紹介しています。
 パルペーションを使用していく際には、その目的と意図を十分に明確にはっきりとさせておくことも必要になってきます。でなければ、闇雲に触れてしまうことになり、上記にもあるようなタイミングや時間を明確に確定することが難しくなります。この状態では、どこにどんな方法で、どんなタイミングで、どの程度触れるのかといったようなことを複合的に判断しながら触れていく必要があります。
 では一つ一つ要素を見ていってみましょう。

パルペーションテクニック(圧:陽圧・陰圧)

 まずは、パルペーションテクニックの視点として圧(陽圧:陰圧)についてご紹介します。陽圧とは組織に対してかかっている圧が増す方向の圧であり、陰圧は組織にかかる圧が減る方向の圧のことです。上記の図では左が陰圧を表しており、右側が陽圧を表しています。
 陰圧の場合、組織に対する圧が減少するため、圧コントロールされている部分と反対側は組織の内部方向へ引き込まれます。
 逆に陽圧の場合、組織に対する圧が増加するため、圧コントロールされている部分と反対側は組織が外部方向へ押し出されます。
 このような圧バランスは単一の組織において変化し続けており、これは内部環境や外部環境の影響を受けています。
 例えば組織がバランスされていない状態(上記では陰圧状態、陽圧状態)では血液循環システムやリンパ液の循環システムが円滑になされていない場合もあり、この結果として浮腫(むくみ)がその組織周辺に存在している状態となります。浮腫の結果として、筋肉や皮膚の滑走障害を招くので、運動機能障害へと繋がってしまう可能性があるということになります。
 そして、組織が発している症状自体がこの陽圧、陰圧の組織の面と裏のどちらの部分に生じているかどうかという視点が重要になります。その組織に陰圧がかかっている部位自体に症状が生じているのか、または圧がかかっている部位の反対側なのか、これは陽圧の場合もしかりです。
 症状を発している組織がどのような状態なのかどうかをアセスメントする際にも、この「圧」の視点を持っておくことで対応できる部分がかなり増えてきます。

 ここでは詳細は述べませんが、この圧は身体感覚として入力されていますし、その入力に対してS(刺激)-O(生体)-R(反応)の一角をなしているのです。
 この圧は筋肉の感覚器官でもある、筋紡錘や腱紡錘にも影響を与えます。筋の長さや筋の緊張を状況に応じて調整している感覚器官です。この器官はγ運動ニューロンによってその緊張状態をフォードバック機構によって調整しています。
 つまり、筋肉によって身体の運動はなされるわけですから、この筋肉の状態がどのような状態なのかということをアセスメントしていくのも、この「圧」の視点があるだけでも非序に役立つということが感じ取れるのではないでしょうか。

 では、なぜ圧バランスが崩れてしまっているのかという部分に関しては、また別記事で詳細をご紹介しますので、まずは、パルペーションを行う際に「圧をどう見るのか」という視点を持ってみていただければと思います。

パルペーションテクニック(タイミング)

 では次に「タイミング」についてお伝えしていきます。上の図のように身体で生じているリズムや緊張、反応はその瞬時瞬時に変化しています。それが意図的であろうとなかろうとです。タイミングとは自分の意図を向けるタイミング、触れるタイミング、離すタイミング、自分の位置を変えるタイミング、声をかけるタイミングなど細かく言えば非常に多くのものがあります。

 ここではパルペーションなので、触れるタイミングについて細かくみていってみましょう。なぜそのタイミングで触れたのか。なぜそのタイミングで触れる位置を変えたのか。なぜそのタイミングで触れる圧を変えたのか。なぜそのタイミングで方向性を変化させたのか。などそのタイミングである意図を意識する必要があります。
 意図は明確である方がもちろん反応についても明確にすることができます。この反応についてリスクはどの程度あるのか、どの方向に進んでいっているのかなども明確になります。触れるタイミングについては常にアセスメントをすることができますし、アセスメントを着実に重ねることで、タイミングを意図することも可能になり、そのタイミングが明確になります。


 タイミングは他のパルペーションの要素とも密に関係しています。圧、方向なども含めて一つの要素とも密接に関わりますし、幾つもの要素とも密接に関わりを持っています。

 曖昧な部分が削られていくと、タイミングについては明確になりますし、その明確なタイミングがあるからこそ、S-O-Rの原則の中でどのようなことが生じているのかということを明確化でき、判断することができるようになるのです。この判断のさいたるものが「意図」と「アセスメント」になります。

 タイミングが変化すれば、身体の反応や反応性も変化します。常にパルペーションを行う際には、評価であれアプローチであれ、常に意図とアセスメントを意識することが重要になります。

パルペーションテクニック(方向)

 次に、方向性についてです。身体反応の原則はS(刺激)-O(生体)-R(反応)ですので、パルペーションの方向性によってはその刺激が変化するために、生体での反応も変化します。感覚入力の状態が変化すれば、内側前頭前皮質でのボトムアップによる情報処理が異なってくるため、アウトプットするという身体反応も異なります。これは顕在的、潜在的どちらも含まれてます。
 ここでも重要なのが、その方向性にしている「意図」になります。

①評価する(パルペーションによる評価:今回のパルペーションの要素を全て含めた評価)。

②意図を決定する(再評価やアプローチを含めた評価、顕在的な部分と潜在的な部分を含めた意図)。

③方向性を含めたパルペーションを実施する。
 この方向性を含めたパルペーションとは次でお伝えする接触面積とも関わりますし、部位によって方向性を変えるという意図があれば、その方向性でのパルペーションについてのアセスメントが常に必要になります。

 そして、この方向性ですが、パルペーションをしている組織のフェーズに分けて行うこともできます。組織のフェーズによって表面上では同じ部位に触れいているようでも、身体内部で生じている反応を常に感じてアセスメントしているので方向性を意図的に変化させていくことも可能になるのです。

 簡潔に言うなれば、階層性の方向性を意図的にパルペーションするという感じでしょうか。 

 この部分が明確に行うことができるようになると、臨床上でのアプローチの方向性も明確になりますよ。

パルペーションテクニック(接触面積)

 では次に、パルペーションテクニックにおける「接触面積」についてです。接触面積は大きければ大きい程、感覚刺激を受ける範囲は増えますし、点よりは面という認識がなされます。この面積によって、身体反応ももちろん変化します。同じ「圧」や同じ「接触時間」でも、面積が大きければ「圧倒」されるような感覚入力になってしまっているかもしれませんし、また接触面積が小さい場合は「不安」を想起するような刺激になるかもしれません。
 この接触面積の大・小に関しては、基準はありません。ここでも重要なのはやはりS(刺激)-O(生体)-R(反応)の一連の身体反応です。この反応は運動として(この運動が繋がれば運動連鎖)、もしくは内部の反応として(内在的な運動連鎖)生じることがあります。

 そして、ここで重要なのが、大きな刺激に対して大きな反応が返ってくるというイメージはつきやすいと思うのですが、身体反応としては、大きな刺激に対して、小さな反応しか返ってこないことがあります。これは、「小さな反応しか返すことができない」場合と「小さな反応をして対象物の反応を観察している」という2つのパターンが考えられます。
 「小さな反応しか返すことができない」場合は、「圧倒」されている場合もあれば、「反応に必要なエネルギー自体が枯渇している」状態であることが考えられます。
 「小さな反応をして対象物の反応を観察している」場合は、内側前頭前皮質がより適切な適応反応を示すために調整をしようとしていると考えることができます。

 このように、接触面積をアセスメントすると考えることがごちゃごちゃになってしまいそうになりますが、一つ一つ捉えていくことで着実に成果をあげることができます。
 自分か感覚器官の何に刺激を与え、どの反応のアセスメントに視点を向けているのかという部分が非常に重要です。
 この接触面積の視点と運動という身体のアウトプットの統合をしていくということが運動連鎖整体®︎の一つのコンセプトでもある、「歩行に紡ぐ」という部分にも繋がりますし、「全ては呼吸に帰結する」という部分にも繋がります。

 身体に触れて、ハンドリングを行う際には、この接触面積という視点を持っていただくことで、アセスメントのバリエーションを拡大してくことができますよ。

パルペーションテクニック(時間)

 では次に、運動連鎖整体®︎におけるパルペーションテクニックの「時間」についてです。
 身体の反応は上の図のように、常に変動を続けています。これは有機体として人の命が流れ、動き、活動しているためです。この命の流れの中で、私たちは、臨床の中で「触れて」いるのです。上の図を見れば一目瞭然んですが、同じ「圧」で同じ「面積」で触れていても、身体の反応は変化していっていますね。この反応の変化は同じ組織の反応の変化でもあれば、部位が連動していくという変化でもありますし、運動連鎖のように動きやその動きの速度の変化とも関係があります。
 運動連鎖整体®︎の視点からみた臨床の中でよく生じることがあります。それは、ある刺激下では運動コントロールが自覚しやすく、調整をとっていきやすいのに、その刺激がなくなれば、再度運動コントロールが難しくなるということです。これは刺激に対しての、自己フィードバックとそのフィードバックに対しての運動表出という「神経のシナプス形成」が十分になされていないということです。
 ではどのようにしてこの感覚と運動表出の再構築をしていけばいいのでしょうか?
 答えとしては、運動表出自体も実は身体感覚の一部なのです。この運動表出に対しての感覚入力→そしてまた運動表出→感覚入力…といったように感覚入力と運動表出は常に連動しています。そしてこの感覚入力-運動表出に加えて、その運動に適した身体の状態に変容するように調整しているのが、自律神経系なのです。この自律神経系は意図的に反応するというよりは自動的に(自律的に)反応として身体の状態を変容させています。なので、状況把握ができていなければ、同じ感覚入力に対して常に同じような自律神経系の反応パターンが表出されてしまう(この反応パターンによっていつでもこの運動表出もできる状態だよ!と身体に合図しているのです。:これは筋緊張に著名に現れます。これを筋トーンの変化と言います。)ということになるのです。
 以前もお伝えしたように、身体感覚に対してはボトムアップとしての情報収集と判断を下しているのは内側前頭前皮質でしたよね。
 連合反応や瞬時な反応パターンとしては、脳の扁桃体によるものがあげられます。これはストレス反応や情動(怒り・恐怖・快・不快など)に反応する部位でもあり、この部位の反応性が高い場合は感覚刺激に対しての反射・反応が調整されることなく表出されてしまうのです。

 話を戻すと、このパルペーションにおける「時間」においては、触れる時間以外にも、反応が生じている時間、反応が生じるまでの時間、反応に適応していく時間など様々です。
 理想では、常に内側前頭前皮質が働き、自己の状態を把握することができる状態であるということです。

 時間の概念をパルペーションに組み込むことで、自分のみている視点がより明確になりますよ。

パルペーションテクニック(流れ)

 では、次に運動連鎖整体®︎における「流れ」についてです。
 身体の内部での循環や呼吸、または運動には流れがあります。運動連鎖にももちろん流れがあります。これは目で見える(運動は視診で見ることができます)部分と、見えない部分(血流は見えない:目安として、皮膚の色や拍動を感じることはできる。)があります。
 パルペーションを行う際には、筋膜や隔膜なども触れていくのですが、呼吸や心拍とこれらの組織も連動して動いているので、流れが存在します。
 触れている時に、そのパルペーションは流れに影響を与えているのかどうかという視点を持つことが非常に重要になります。流れを阻害する方向であれば、血流に対しては遮断方向の力が加わりますし、これは長く続けば組織の浮腫や鬱血にも繋がるでしょう。逆に血流を促通するものであれば、浮腫や鬱血は改善されるかもしれません。(組織の状態によっては、静脈に対してパルペーションを行っているのか動脈に対してパルペーションを行っているのか、リンパに対してパルペーションを行っているのかを明確にする必要があります。これらは同時にもしくは交互に行われることも多々あります)

 そして、上の図のように、その流れは方向性があり、同じような部位でも、微細に見てみるとその流れの走行性は少し近隣のものとは異なりますし、これは組織のレイヤー(層)によっても異なります。(そもそも階層ごとに存在する組織自体が異なりますよね。)
 ある部位では流れと順方向に。でも同じ部位でも近隣では逆方向に。レイヤーで見てみると、順方向同士が重なり合っていることもありますし、順方向と逆方向が重なり合っている場合もあります。これは個々人で異なりますので、ここでもS-O-Rの視点が非常に重要になってきます。

 流れを掴めるようになると、前項でもお伝えした、「時間」についても意図も明確になっていきますよ。

パルペーションテクニック(拍動)

 では、次に「拍動」についてお伝えしていきます。後の項でも「リズム」というものが出てきますが、リズムは実際に「触れる側」と「触れられる側」の双方の視点があるという部分がこの「拍動」とは異なる点です。
 「拍動」自体は自律的な働きです。ここでは触れられる側の視点から「拍動」についてお伝えしていきます。上の図は心電図を表しています。これは自律的な電気信号は心臓の鼓動を誘発し、血液の循環を全身に促しているものになります。この血流に栄養素や酸素がのることで各細胞にエネルギーが供給され、また二酸化炭素などの排泄されたものが、排出する部位へ運ばれるという流れを作り出しているのがこの「拍動」です。
 この拍動が妨げられば、上記の循環システムは阻害されます。内在的な運動連鎖では、ポリヴェーガル理論の視点から、呼吸器系や循環器系までにも影響があるという視点でパルペーションテクニックを使用していきます。自律神経系に関わるという部分では、この「拍動」に大いに関わっていくのです。

 自分で行っているパルペーションは現在の身体反応としては触れられる側のキャパシティにおさまっているが、このパルペーションの影響が続くとするならば、「拍動」に対してはどのような影響を与えるだろうか。その影響については意図して知っているのだろうか。この部分が重要になってきます。もちろんその場での反応として、拍動に変化・変容が見られることもありますので、この部分に対しては、常にアセスメントが必要になります。

 「拍動」の視点を持てるようになることで、パルペーションにおける予後予測も行えるようになりますので、是非テクニックとして習得をしていただきたいものではあります。

パルペーションテクニック(温度)

 では、次に運動連鎖整体®︎における「温度」についてです。
 上の図では皮膚の環境温度に対する反応を示しています。自律神経系としては腹足迷走神経複合体が交感神経系と背側迷走神経複合体とのバランスをとっている状態では皮膚温度は保たれている状態です。逆に言えば、交感神経系や背側迷走神経複合体が活性化し過ぎている状態では皮膚血流は低下するため、皮膚温度は低下していきます。
 要は循環状態が保たれているかどうかがポイントになるのです。皮膚血流を低下する交感神経系は皮膚へ送っている血流を筋肉に送っている状態ですね。背側迷走神経複合体は冬眠に近い状態になるため、身体は省エネモードになり、心拍自体が少なくなるため、皮膚への血流だけでなく、全身への一定時間における血液循環量が低下します。

 パルペーションにおける温度を察知することで、身体のシステムがどのフェーズにあるのかどうかをアセスメントすることができます。上記のように皮膚温がどのような状態にあるのかどうかを観察することで、パルペーションにおける選択をすることができるのです。また、皮膚自体の温度が低下している場合には、感覚は鈍くなりますし、暖かくなれば感覚は分かりやすくなります。(寒くなると手がかじかんで感覚が分かりにくくなりますよね)
 つまり、血流の低下により皮膚温が低下すれば、その部位の感覚的フィードバックはその信号自体が少なくなってしまい、ボトムアップとしての感覚情報が得られにくくなるのです。手が冷たければ「手がある」という状態に気づきにくくなるということです。
 パルペーションを習得していくにあたり、セラピスト自身の手の温度や全身の身体の「ある」という感覚が自己フィードバックできなければ、パルペーションにおける、自身の身体のポジショニングを適切に行うことができません。(これはアセスメントのずれや自分の状態によってはパルペーションにむらが生じてしまうため、重要なポイントです)

 温度に関しても、暖かい部位と冷えている部位があれば、部位ごとの身体の状態の上方収縮にずれが生じますし、運動連鎖におけるタイミングのずれや運動を表出する際に出力のずれが生じてしまう可能性があるのです。

 このように、「温度」の視点はパルペーションテクニックにおいて重要なポイントとなります。

パルペーションテクニック(部位)

 次に、パルペーションテクニックにおける「部位」についてです。部位はその文字のごとく、どこに対してパルペーションをするかということになります。
 実際にパルペーションを用いて、評価やアプローチを行う際には、「モニタリング」というテクニックを用いながら行います。
 これは、ある特定の部位には「常に評価」を行い、別の関連が考えられる部位には「アプローチを施す」とうことを行います。この評価を常に行っている部位がモニタリングであり、変化・変容を追いかける運動連鎖整体®︎におけるその場での目的部位になります。(これは症状が生じている場所になることもあれば、動きが出にくい場所、感覚が分かりにくい場所にもなることがあります。)

 例えば、肩に症状が出現している場合を考えてみましょう。肩にはパルペーションにて常に状態を把握できるようなタッチを行いつつ、反対の手では足部や関連部位に触れながら肩の状態の変化を把握するということになります。これは例ですので、かける言語のチョイスでも、反応は変化していきますし、クライアントの方がセラピストにその日に出会う前にあった出来事によっても影響を受けている場合がありますので、その辺りも念頭に入れながら、ここでは肩の状態をモニタリングするということになります。

 この文章を読みながら、なんとなく感じていただいているかもしれませんが、運動連鎖整体®︎はこの部位と-この部位の関係性や関連性といった視点も含みつつ、実際にはモニタリングを行いながら、関連部位や関係性のある部位を特定しつつ、アプローチと評価を繰り返していくという流れになります。なので理論的にhow toをつかむことができる部分もあれば、個別性やセラピストの自由度が非常に高いという部分もあります。
 臨床において、評価とアセスメントはその大半を締めます。評価とアセスメントが適切に行われなければ、アプローチは必ずずれます。ずれれば改善はありません。

 クライアントの回復に本当に携わることができているのかどうか。せっかくでしたら、力になりたいですよね。(この部分も自由度が高いですね)

 話を戻すと、視点を向ける部位を絞ったり、広げたりするのは当たり前に行うことであるということを念頭におきながら、パルペーションテクニックを習得していってください。

パルペーションテクニック(反射)

 次に「反射」についてです。反射は意図的に起こすことはできません。上の図は脊髄反射であり、ある刺激に対して反応が自動的に行われているということになります。
 小児の頃は原始反射が出現するのですが、成長するにつれて、大脳がこの反射自体を抑制し、感覚入力におけるコントロール下におくのです。しかし、大脳(ここでは大脳新皮質)の活動が乏しい場合(内側前頭前皮質)どのようなことが起こるのでしょうか。答えは、原始反射のような身体の反射の動きが見受けられることがあります。身体が本来持っている反射なので、象徴的な動きと言ってもいいかもしれません。例えば、緊張性頸反射は顔を向けた側の腕と脚が伸展します。(下図)

 この動きが常に起こってしまっては、腕は使いたいように使えないですし、脚も使いたいように使えません。(ただし、無意識ということだけを考えると、歩行中の腕の振りや足の踏ん張りとも関係はしているかもしれません。:これはあくまで予想です)
 つまり、大脳によってコントロール下にあるということです。

 身体には、様々な反射が存在していますが、詳細はここでは割愛します。(反射についても別記事で運動連鎖整体®︎との関係性を詳細に解説します)
 パルペーションテクニックにおいてその感覚が「反射」を誘発する刺激になっていないかどうか、あるいは新たな感覚入力がなされることによって統合が進み、「反射」自体が抑制されているかどうかをアセスメントすることがポイントです。
 運動連鎖には内在的運動連鎖と外在的運動連鎖がありますが、反射がどちらの運動連鎖を誘発しているかという視点を持つことも重要です。
 実際には、今起こっている連鎖がある刺激(S)によって生じているとするならば、反応(R)としてアセスメントしている事象は「反射」としての反応なのか、あるいは「ボトムアップとしての情報を内側前頭前皮質が統合した後にアウトプット」としてアセスメントしている事象なのかを見極める必要が出てきます。
 反射の場合は非常に早く反応が見受けられることがありますので、この反応の速度という視点も重要な見極めのポイントになりますね。

パルペーションテクニック(リズム)

 次に、運動連鎖整体®︎におけるパルペーションテクニックの「リズム」についてです。「拍動」と「流れ」の項でも触れましたが、身体にはリズムがいくつかあります。心拍もリズムですし、腸蠕動運動もリズムですし、呼吸もリズム、脳波もリズム、歩行もリズムがありますし、食べ物を咀嚼する時にもリズムがあります。
 このように、身体で生じるリズムは多々あるのですが、このリズムを構成しているものがあります。ここでは「呼吸のリズムの構成要素」を例に見てみましょう。
 まず呼吸をするためには何が必要でしょうか。
 空気が必要です。肺が必要です。肺は自動運動できませんから、肺を動かすための呼吸筋が必要です。そして、横隔膜も呼吸筋とて働きますが、この横隔膜は隔膜として骨盤隔膜と胸郭上口の隔膜と動きを共鳴することで振幅を効率的に行っているのです。
 このように呼吸1つをとっても、その構成要素は多々あります。つまり、呼吸のリズムを構成する要素も上記のように多々あるということです。酸素が薄い状態では呼吸は早くなりますし、呼吸筋全体が協調して働かなければ、ある特定の部位の呼吸筋が過剰に努力を強いられ、一定期間における呼吸回数にもムラが出てくるでしょう。
 これらの要素は呼吸のリズムを保つ要素としても重要な要素ということは理解できると思います。

 運動連鎖整体®︎では、「リズム」を単にリズムとして捉えるのではなく、その「リズムの構成要素」を捉え、パルペーションテクニックにおけるモニタリングを通じてその変化・変容をアセスメントしていくのです。
 実際の現場では、姿勢や運動は常に変化しますので、それに伴うリズムの変化を追跡し続けることが重要になってきます。逆に言えば、リズムの変動をキャッチできると、その日その日のプログラミングの目的地を設定したり、アプローチの量を調整する目安になりますよ。

パルペーションテクニック(インテンション)

 次に「インテンション」についてです。以前にもお伝えしましたが、身体は快・不快など理由はないが、感じている感覚があり、ステファン・W・ポージェス博士はこれを「ニューロセプション」と名付けました。
 ここでの「インテンション」とは「意図」や「目的」と捉えてください。
 実際の現場では、アセスメントをしていくわけですが、言語化できる理論的な部分に基づいて臨床展開しつつ、上記であげた、理由付けがなされていない感覚(なんとなく気になる部位など)に従いながら臨床展開をしていくということもあります。(言語化や理論付けに関しては左脳優位の臨床展開。非言語的な感覚的な直感的な部分に関しては右脳優位の臨床展開です。左脳優位では思考がある分、速度が遅く、右脳優位であれば直感的なので速度が速いです。:これは言語化が間に合わないと言ってもいいかもしれませんし、実際の臨床では身体反応が次々に起こるため、考えていては追いつかないことが多々あります。)
 つまり、意図や目的を持つことの中で「ニューロセプション」も重要であるということです。意図や目的は言語的なので左脳優位。ニューロセプションは右脳優位。そして、このポイントについては、セラピストの状態だけでなく、クライアントの方にもこのニューロセプションのレベルで様々な反応が起こっているということを念頭においた状態でアセスメントをしていく必要があります。ここでもS-O-Rの考え方が役に立ちますね。
 セラピストの感覚としては、運動連鎖を見ていく時に、「気になる部分・目の向く部分」を捉えていくという感覚になります。この気になる部分は運動連鎖の破綻なのかもしれませんし、運動連鎖における初動の部分なのかもしれません。ケースバイケースですが、万人が同じ反応を示すわけではないため、セラピスト自身の感覚も重要になるということになります。
 また、言い換えれば、この「気になる部分・目の向く部分」は周辺視野で見ることができていないとフォーカシングしていくことはできません。最初から目的や意図に向かい過ぎていると中心視野になってしまい、全体としての状況把握をすることができません。モニタリングを行う際にも、このことは言えますし、モニタリングでは中心視野と周辺視野のどちらの視点も常に持ち合わせておく必要があります。

パルペーションテクニック(ニューロセプション)

 次に、「ニューロセプション」についてです。前項でもお伝えしましたが、ニューロセプションとはステファン・W・ポージェス博士が提唱した、何となく感じている感覚になります。また、前の項では思考的・言語的:左脳、直感的:右脳であると解説しました。このニューロセプションや右脳優位であるということは、発達の視点を見てみるとわかりやすいと思います。
 生後3〜4年は言語がまだ十分に発達していないため、直感的・感覚的に行動をしながら生活をしています。つまり言語的ではないということになるので、理由が特にある訳ではないのです。
 よく「イヤイヤ期」という言葉を聞くと思いますが、「イヤッ!!」ということには理由はありません。直感的にイヤッ!!なだけですので。
 だんだんと左脳が言語が発達し、左脳自体が活性化してくると理由付けが可能になってきます。
 これは逆に言えば、本来身体が感じている感覚(ニューロセプション)を無視して行動することも理由付けによってできてしまうのです。吐き気がするほど仕事に行きたくなくても、生活のために仕事に行くもそうかもしれませんし、お腹が空いているけどダイエットしたいから食べないということもそうですよね。

 話を戻しますと、臨床ではニューロセプションはセラピスト自身が磨きをかけて使用していく必要がありますし、クライアントの方もこのニューロセプションに気づくということを動きの中でしていく必要があります。
 一つのきっかけは、身体感覚に気づくということです。
 私は何に影響を受けているのか、その影響とは私にとってなんなのか(ここは言語的)と言ったことに、ボトムアップを通じて気づくということです。

パルペーションテクニックにおいて、これまで「圧」や「接触面積」、「流れ」、「リズム」、「タイミング」などをあげてきましたが、これらの要素にセラピスト自身がニューロセプション(右脳を使用して)に気づくということが非常に重要になってくるのです。

 この感覚を磨くことで、セッション時間全体の中での時間配分や統合のために必要な要素をアセスメントすることができるようになりますよ。

今回は、項数が多かったですが、パルペーションについが少し噛み砕くことができたのではないでしょうか。最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

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この記事を書いた人

Daisuke Nobuchika

・Bodywork Salon Compasses代表
・Somatic Neutrality®考案者
・Dibs®︎考案者
・Innate Pilates®︎考案者
・運動連鎖整体®︎考案者
・理学療法士
・Somatic Experiencing™ Practitioner(SEP)
・DARe Practitioner
・Somatic Experiencing™︎ マスタークラス Eye of the needle(Ⅰ&Ⅱ)修了
・Somatic Experiencing™︎ マスタークラス 慢性疼痛と症候群 修了
・Sequencing Workshop 修了
・Yoga Teacher(Kaivalyadhama Yoga Institute Certificate Course in Yoga修了)
・Somatic Resilience and Regulation®修了
・DE GASQUET®INSTITUT基礎講座、ぺリネのABC受講修了
広島県福山市出身。小学校から社会人にかけてバスケットボールに積極的に取り組み、全国大会やAll Japanに出場。高校生の時に人の役に立つ仕事に就きたいという思いと部活動のトレーナーが理学療法士であることもあり、理学療法士を志す。2011年、理学療法士免許習得。総合病院、整形外科病院在籍中にピラティス、ヨガに出会う。2017年ファンクショナル ローラー ピラティス マスタートレーナーコース修了。2022年SEP取得。同年SRR修了。2023年Kaivalyadhama Yoga Institute Certificate Course in Yoga修了。現在、理学療法士とサロンでのセラピストとして活躍中。 また、臨床中に患者様と関わる中で「病気になる前の予防の重要性」を感じ、『病気に囚われない予防の実現』を人生のテーマに日々邁進している。

 

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こころとからだの指針を紡ぐBodywork Salon Compassesではヨーガとピラティスなど心身のアクセスを通じた心身コンディショニング・姿勢の改善、タッチセラピー(マッサージ、整体)による痛みのケア(関節痛、首痛、頸部痛、首コリ、肩凝り、背部痛、腰痛、股関節痛、膝痛、足痛や足部の変形:外反母趾など)、循環改善・むくみケア、姿勢と歩きの改善を行っています。ホームページではセッションの内容や料金について詳細がわかりますので、「ホームページはこちら」をクリックしてのぞいていみてください。

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