みなさん、こんにちは。
広島県福山市でボディワークサロンをしています。Daisukeです。今回は運動連鎖整体®︎における自律神経系の理解について書いていきます。自律神経系の知見があることによって、運動連鎖整体のメガネをかけて身体を見ていく時に、身体のレスポンス(反応)がどこに由来しているのかという部分を理解しやすくなります。筋膜や角膜を構成している身体の構造物という視点とその構造物同士をシステムで繋いでいる神経系の理解を深めていきましょう。
それでは、内容に入っていきましょう。

目次(Contents)
ポリヴェーガル理論

まずは、ステファン・W・ポージェス博士が提唱されているポリヴェーガル理論についてお伝えしていきます。
ポリヴェーガル理論とはポリ(多重)+ヴェーガル(迷走神経)理論ということです。従来は交感神経系と副交感神経系という自律神経系を2つの神経系に分けていましたが、ポージェス博士は副交感神経系には背側迷走神経系と腹側迷走神経系があるということを提唱されています。
背側迷走神経系は系統発生学的に古い迷走神経系であり、爬虫類に由来し、無髄神経で支配領域は横隔膜より下の内臓器官を主に支配しています。
腹側迷走神経複合体は系統発生学的に新しい神経系で、横隔膜より上部の心臓血管系や呼吸器系を支配しています。腹側迷走神経複合体は有髄神経であり、背側迷走神経複合体や交感神経系より神経伝達が速いため、背側迷走神経複合体や交感神経系と協調することで、ソーシャルエンゲージ(社会交流システム)を円滑にしています。
いわば、調整の役割を持っているのです。迷走神経は神経束の内80%の線維が求心性であり、内臓から脳へ、残りの20%が遠心性で運動神経としての役割を担っています。
交感神経系は活動にためには重要な神経系です。交感神経系が働くことで私たちは心拍を上げることができますし、運動器系に血液を供給できるようになっているのです。
生き物の生命活動にはS(刺激)-O(生体)-R(反応)モデルが利用されます。刺激に対して、生体がその刺激を解釈し、反応するというモデルです。これは自律的に行われていることも含まれます。身体にはホメオスタシスという機能があり、身体に疲労がたまれば回復させるために、休みます。風邪を引けばその原因がウィルスであれば発熱して、免疫反応を呈します。このように身体は刺激に対して反応するということを繰り返しているのです。
運動連鎖整体®︎ではこのS-O-Rのモデルを取り入れてアセスメントしていきます。どのような刺激に対してどのような解釈が個々人でなされどのような反応(行動)として現れているのかという視点を常に持ちます。これは運動連鎖としては目に見えやすい形になっていますが、自律神経系の反応としては、運動をしている際の心拍変動や覚醒度の変化、運動の質の変化もアセスメントの一環として非常に重要な要素になります。
筋膜や角膜という解剖学的な知見も後に述べていきますが、その際にもこの自律神経系の知見は非常に役に立ちますよ。
三位一体脳

三位一体脳とはポール・D・マクリーン氏が提唱しました。系統発生学的に中枢神経系を見てみると、爬虫類脳、旧哺乳類脳、新哺乳類脳に分類できるとしたものです。
爬虫類脳には脳幹部が含まれます。この部位は、心拍や呼吸、血圧の調整の中枢があり、生命維持に必要な自律神経系の中枢があります。
旧哺乳類脳には大脳辺縁系があり、感情や記憶を司る部分があります。
新哺乳類脳は前頭葉、頭頂葉、後頭葉、側頭葉といった高次の脳機能を司る部位になります。
以前にも、述べましたが、ヒトの神経系の構造の特徴として、前頭葉の大きさが大きいということがあげられます。ボトムアップとしての感覚入力から自分の状態の把握を行い、旧哺乳類脳や爬虫類脳から生じる反射や反応を調節しています。
逆に言えば、新哺乳類脳の機能が低下してしまえば、旧哺乳類脳や爬虫類脳の反応や反射が顕著に見受けられるということになります。
つまり、運動連鎖整体®︎では身体への感覚入力(刺激:S)から生体(O)の中でシステムが働き、反応(R)として出力されている部分もアセスメントとして見ていくのですが、この生体のどのシステムが働き、どの部分に起因した反応が生じて現在見えている運動の連鎖がなされているのかということが背景としてあるのです。
運動連鎖の中では心拍変動や血圧変動、呼吸の変動、感情の変動や想起される記憶など、その運動連鎖に関連した反応が様々に出現しています。
三位一体脳理論では、発生学的に神経系を理解することができます。低位の脳は上位の脳の支配を受けているということです。
例えば、ヒトは嫌なことや逃げ出したいことなども、我慢して、社会的な行動を取るように衝動自体をコントロールすることができるのです。お腹が空いても、どこでも食事は摂りませんよね。
逆に言えば、本来の身体の反応として生じている部分も新皮質のバイアスによって押さえつけられてしまう部分もあるということです。本来の反応ということは、戦ったり、逃げたりという反応もしかりです。
これをエネルギーに例えるならば、本来は放出されるべきエネルギーが放出されないままになってしまいますので、エネルギーが体の中に蓄積されます。筋肉で言えば筋緊張が高まった状態で硬結してしまっている場合もありますし、これが継続すれば、慢性炎症につながっている場合もあります。
硬くなっているということはその理由が必ずあります。
その理由がなんなのかを理解し、アセスメントしていくための手段として運動連鎖整体®︎を是非使っていって見てくださいね。
内側前頭前皮質

内側前頭前皮質は前頭葉に位置しています。この部位は身体全体の状態・状況を把握することが役割です。いわば司令塔です。この部分が働いていない状態では、身体機能にまとまりがなくなってしまいます。周りの状態に応じて身体の反応を適切に調整することができなくなりますし、「混乱」している状態のまま、日々を過ごしている可能性すらあるのです。
内側前頭前皮質はこのように視座としての機能を持っています。運動連鎖整体®︎ではこの部位が調整機能として働いているのかどうかも反応からアセスメントをしていきます。
どのような刺激に対してどのように解釈され、どのような反応をしているのかどうかと見ていきます。
運動連鎖整体®︎での見方としては
①刺激の調整(効果器の状態の調整)
②システムを介して解釈している方法や解釈している際に使用している部分の同定と再配線
③反応に対しての自己フィードバック機能の獲得
これらの見方を常に念頭に置いてアセスメントしていきます。
S-O-Rの流れの中でそのブリッジしている部分(連動している部分)を評価・解釈して関わっていくという視点です。
エネルギーの効率化による酸素化

体で使用するエネルギーを節約することができれば、そのエネルギーは身体の中に蓄積され、必要な部分へエネルギーを供給することができます。身体の活動の中で酸素は必要不可欠なエネルギーです。
S-O-Rの視点で捉えてみると、刺激に対しての反応ですが、この反応が大きい場合、もしくはO-Rのように身体内部でのシステムが常に働いて反応が常に繰り返されている状態であればエネルギーが常に使われている状態であるということになります。
反応が無意識のうちに繰り返される→エネルギー供給が常になされる→身体内部の酸化が進む→身体のリカバリーの余地なし。
上記のような流れで、慢性疲労にも繋がっている場合もありますし、このO-Rの中でも運動連鎖が生じているので、この連鎖がパターンとして学習してしまっている場合もあります。
つまり慢性的にエネルギーを使い過ぎるパターンが定着してしまっている状態になっているということです。
運動連鎖は姿勢の保持や運動の中で構成されますが、この姿勢や運動自体を効率化することによって、エネルギー消費のパターンを再構築していくのが運動連鎖整体®︎です。この効率化によって身体内部は酸素が消費され過ぎないため、酸素化が進みます。結果として、必要な時に必要な部分でエネルギーを使用することができるということです。
加えて、エネルギーの効率化が行われると、呼吸による酸素の取り込みのための過剰な努力が必要なくなります。つまり呼吸のパターンの変容です。
言うなれば、呼吸もパターンであり、外在的な運動連鎖のみならず、内在的な運動連鎖にも大いに関わっています。
運動連鎖のアセスメントの中でも、外在的なパターンと内在的なパターンの相互の関係系と起点の解釈によって、アクセスする部分を決定していく訳ですが、このアクセスするポイントが呼吸であるならば、呼吸のパターンやエネルギーの効率化という視点も重要になります。
運動連鎖によって円滑に力の伝達がなされると、エネルギーが効率的に伝わっていくということになりますので、これもエネルギーの効率化に繋がります。
パターンと運動連鎖によるエネルギーの効率化(身体内部の酸素化)の視点が重要になるのです。
エネルギーの枯渇

我々が活動するためには、交感神経系が働く必要があります。
〈SAM系〉
SAM系とは視床下部ー交感神経ー副腎髄質系(Sympathetic nervous adrenal medullary system:SAM系)のことであり,ストレスに対して素早く反応する系です。この系では副腎髄質からカテコールアミン(アドレナリンやノルアドレナリン)が放出され,血圧上昇,発汗,血糖上昇,覚醒状態となります。この系は「闘争/逃走」の状態へと移行する働きをもちます。
〈HPA系〉
HPA系とは視床下部ー下垂体前葉ー副腎皮質系(Hypothalamic pituitary adrenal:HPA系)のことであり,この系では副腎皮質からコルチゾルが放出されます。SAM系よりは反応は遅いが,血圧上昇,血糖上昇,炎症抑制などの影響を与えます。HPA系の機能の調整には脳内の副腎皮質ステロイドホルモン受容体が重要な役割を担います。この受容体によってHPA系に対してネガティブフィードバック機構が働き,過度にHPA系に刺激が加わらないように調整されています。
長期的あるいは過剰なストレスは,HPA系の過活動を引き起こし,疾患における脆弱性の構築や易罹患性につながると考えられています。いわばエネルギーの枯渇です。
上記にも述べましたが、エネルギーが足りていない場合、必要な時に必要な場所にエネルギーを供給することができません。これは免疫機能の低下にも繋がります。
常に活性化している状態ということは、筋緊張や呼吸の努力性、運動の緩慢さあるいは過剰な反応や素早い反応性などがアセスメントの中で見受けられる可能性があります。
運動連鎖整体®︎の中でもこの身体内部で生じているS-O-RのO-Rの部分に視点を向けていくことは非常に重要になります。
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Daisuke Nobuchika
・Bodywork Salon Compasses代表
・Somatic Neutrality®考案者
・Dibs®︎考案者
・Innate Pilates®︎考案者
・運動連鎖整体®︎考案者
・理学療法士
・Somatic Experiencing™ Practitioner(SEP)
・DARe Practitioner
・Somatic Experiencing™︎ マスタークラス Eye of the needle(Ⅰ&Ⅱ)修了
・Somatic Experiencing™︎ マスタークラス 慢性疼痛と症候群 修了
・Sequencing Workshop 修了
・Yoga Teacher(Kaivalyadhama Yoga Institute Certificate Course in Yoga修了)
・Somatic Resilience and Regulation®修了
・DE GASQUET®INSTITUT基礎講座、ぺリネのABC受講修了
広島県福山市出身。小学校から社会人にかけてバスケットボールに積極的に取り組み、全国大会やAll Japanに出場。高校生の時に人の役に立つ仕事に就きたいという思いと部活動のトレーナーが理学療法士であることもあり、理学療法士を志す。2011年、理学療法士免許習得。総合病院、整形外科病院在籍中にピラティス、ヨガに出会う。2017年ファンクショナル ローラー ピラティス マスタートレーナーコース修了。2022年SEP取得。同年SRR修了。2023年Kaivalyadhama Yoga Institute Certificate Course in Yoga修了。現在、理学療法士とサロンでのセラピストとして活躍中。 また、臨床中に患者様と関わる中で「病気になる前の予防の重要性」を感じ、『病気に囚われない予防の実現』を人生のテーマに日々邁進している。
Bodywork Salon Compassesとは
こころとからだの指針を紡ぐBodywork Salon Compassesではヨーガとピラティスなど心身のアクセスを通じた心身コンディショニング・姿勢の改善、タッチセラピー(マッサージ、整体)による痛みのケア(関節痛、首痛、頸部痛、首コリ、肩凝り、背部痛、腰痛、股関節痛、膝痛、足痛や足部の変形:外反母趾など)、循環改善・むくみケア、姿勢と歩きの改善を行っています。ホームページではセッションの内容や料金について詳細がわかりますので、「ホームページはこちら」をクリックしてのぞいていみてください。
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