皆んさん、こんにちは。
広島県福山市でボディワークサロンをしています。Daisukeです。今回は運動連鎖整体®︎における運動連鎖がなぜ起こるのか、身体においてはその動きが生じた理由やそのように動くようになった理由を理解するためのツールとして「発達運動学」と「比較解剖学」の視点をお伝えしていきます。
運動連鎖整体®︎も今後もさまざまな知見が発見され、応用されていくと思います。今回お伝えする、発達運動学と比較解剖学はいつでも運動連鎖の視点を取り入れて考察する際にツールとして使用することができます。
それでは、内容に入っていきましょう。

目次(Contents)
発達運動学の視点

まずは、発達運動学の視点の有用性を見てみましょう。
簡単に言えば、0歳〜1歳までの間に神経系としての運動機能(システム)が獲得されるということになります。小さな頃はまだ体も成熟していないため、関節も軟骨が多く、骨自体も硬化していません。
ですから、1歳までに動きのシステムは獲得されていくものの、身体の支えとなる骨自体は十分に硬化していない…この柔らかい土台の上に機能が乗っかっているような状態です。
後にお伝えしますが、土台を「構造」とするならば、システムは「機能」ということになります。体において構造と機能は双方に関係し合い「身体の動き」や「身体機能」を構成していますので、構造と機能が両輪として働き始めるのは、骨格の硬化が十分になされた後ということになります。
言い換えれば、機能は生まれてから死ぬまで変化し続けることができます。これは神経系の使い方やシステムであるが故です。構造の場合は、硬化するまでに時間がかかりますが、硬化し切った後であれば変化はなかなか難しいということになります。
例えば脚長差があれば、簡単には両脚の長さを揃えることは難しいですね。
生まれてからは反射の影響も受けますし、自律神経系の発達も未熟です。この中で神経系の刈り込みとシナプるの形成がなされていき、強化等も行われていくのです。
身体では徐々に首がすわり、座れるようになり、ハイハイや高這いや立位、歩行が徐々に可能となります。要は重力に抗した姿勢を取れるようになるということになります。重力に抗する中で神経系の発達もしていくということです。
立位となり、股関節の伸展が可能となると、大腿骨の前捻角は大きくなり、片脚でのバランスをとっていく中で、大腿骨の頚体角も大きくなっていきます。このように骨格への刺激がシステムによってなされることで構造が徐々に硬化していくのです。
そして、立位となることで、上肢が自由な状態になりますので、リーチ動作や歩行への連動が可能になります。脊柱の回旋という動きも上肢が自由になることで可能になります。
重力に抗するということはシステムの統合の結果であるため、重力に抗することができていない場合は、システムの破綻と理解することもできるでしょう。
運動連鎖整体®︎のみならず、ヨーガのアーサナやピラティスのエクササイズの中でもこの「重力に抗する前のシステム」としてアセスメントをすると、「全ては歩行に紡がれる」と「全ては呼吸に帰結する」、「身体の内圧と外圧のバランス」という3つのコンセプトを色々なことに活かすことができますよ。
※ちなみに、私は浮腫の改善やリンパマッサージにもこの視点を取りいてれいます。
比較解剖学の視点

次に、比較解剖学についてです。比較解剖学とは類人猿とヒトの骨格を比較することで、身体の機能の意味を見出そうとするものです。この機能は何のためにあるのかを理解するためには非常にわかりやすいツールとなっています。
例えば、頭蓋骨が第1頸椎と関節をなし、そこから脳からの脳幹部や脊髄が体幹部、四肢へと伸びていく大後頭孔という穴があります。類人猿ではこの大後頭孔は頭蓋骨の後面にあるのですが、ヒトでは大後頭孔は真下にあるため、脊柱の連結部が解剖学的にも異なるということがわかります。類人猿はヘッドフォアードという身体の中心線から頭が前に出ている状態を取らざるを得ないのですが、人は脊柱の真上に頭蓋骨を位置させることができるような骨形態になっているのです。
また、胸郭の形状は類人猿は台形をしていますが、ヒトでは楕円形をしています。下部の肋骨が閉じている状態ということです。このような胸郭の形状であるが故に肩甲骨の動きも下制(下に下がる動き)がしやすい形状となっているのです。
大腿骨は前捻角があり、大腿骨の頚体角は大きくなりました。このため、股関節の伸展と片脚での立位がしやすくなりました。
足の形状では、踵が大きくなり、母趾が内転位となりました。踵が大きくなったことで、立位での重心を類人猿と比較すると後方に移動させやすくなり、直立二足姿勢がとれるようになりました。また母趾が内転位となったことで歩行中の蹴り出しに必要な足部の第1列の屈曲が可能となりました。また、爪先立ちも可能となりました。
このように比較解剖学を知ることで、その機能が何のためにあるのか、どうしてその機能になったのかということが理解できると思います。
大まかではありますが、進化における骨格の変化を下図へ示します。

類人猿と比較し、ヒトは腕が短くなり、脚が長くなりました。ストライドが大きくなることで、より地上を移動しやすくなったと言えるでしょう。
このように移動するためのエネルギーを節約することができるため、脳が大きくなり、結果として文明を築くことができたという説もあります。
私の知見としては、0歳〜1歳までの発達の過程も併せて見るに、四つ這いや高這いでの肩甲帯の機能と、頸部の抗重力運動のバランスが取れてくると、重力に抗して頭を上げることができるので、ナックルウォークが直立二足姿勢のためには機能面として必要であるのではないかと考えています。
実際の臨床では、頸部や脊柱に関するアプローチでも、肩甲帯からのアクセスを利用することは多々あります。
こちらの論文も参考になりますよ(リンクはこちらから)
機能と構造
機能と構造についてです。上記でも述べましたが、発達運動学の視点では1歳までに動きのシステムが完成するということが1つあります。この機能的システムの完成に合わせて骨格の硬化はまだなされていません。現実には機能の方が先行しているということになります。
この機能的なシステムによって骨格の硬化が誘導されると言ってもいいでしょう。そのため、機能と構造の部分では、「構造は機能により形成される」ということが1つのポイントになります。
そして、構造が構成されれば、機能はその土台の上で働き始めます。より機能のコントロールの際に努力が必要ではなくなると言った感じでしょうか。これを踏まえると「機能は構造に依存する」ということになります。構造を土台とするならば、機能は役者といった感じです。
この機能と構造が相互に関係し合うことで、身体システムが構成されていきます。
以前にも述べた、システムのパターンはこの機能と構造の両方の影響を受けています。運動連鎖整体®︎の中でもアセスメントする際には、このシステムのパターンは何に起因しているのかということを理解していく時に、この機能と構造の視点は非常に役立ちますよ。

そして、我々は生きていく中で身体の内部だけで生きているのではなく、外部との関係性の中でもその種を紡いでいます。このことを踏まえると機能と構造は外的な要因が関係しています。
この外的な要因は感覚器官を通じて身体内部に情報として伝えられます。この感覚も身体システムに影響しているため、外的な要因は内的な要因やシステムにも影響を与えています。
この外的な要因と内的なシステムの成り合いが神経の刈り込みや強化を生じさせています。
ヒトの大脳の前頭葉部分では、この身体の状態を把握するように常に情報の収集と指令が行われています。
運動連鎖は無意識的な部分もありますが、自身の身体のパターン自体は自覚することが可能であるということもこの大脳の機能を知ることで理解ができると思います。(この部分については別の機会で記事にしていきます)
運動連鎖におけるアセスメント

運動連鎖整体®︎におけるアセスメントの中では、この運動の連鎖のパターンを知ることで、どの外的な要因が身体に影響を与えているのかという部分を示唆することができます。この外的な要因は上記でも述べたように、感覚として身体内部への情報として大脳に送られています。この外的要因に対して、意図的に起こしている反応もありますが、反射的に起こっている部分もあります。この部分は自律神経系の機能と知っておくことで理解が深まるでしょう。動きを誘発するために、動きやすい環境を設定しているのも、身体が行っている反応です。この反応が破綻して仕舞えば、例えば、活動する時に血圧を上げたり保持することができないでしょうし、休む時にも常にスイッチが入っている状態(交感神経系の活性化がおさまっていない状態)になってしまうこともあり得るでしょう。
このような反応が「適切な時に(適切なタイミング)」「適切な場所で(適切な部位を)」「適切な場合や場面で(適切な方向に)」行われているのかどうかを運動連鎖整体®︎のアセスメントでは行っていきます。このTPO(Time Place Occation)は動きの効率性や歩行、自律神経系の状態に合わせてです。ヒトによって速度やタイミングは異なりますので、ここは個別性という視点が非常に重要になります。
上記での外的な要因に対して、内的に何が起こっているのかという部分をアセスメントするのが、内的な要因の示唆になります。
この内的な要因では血流やホルモンの状態、神経の信号のバイアスや覚醒状態、自律神経系の状態など内部での反応や起こっていることに視野を向けてアセスメントしていきます。(上の文章では運動に合わせた身体の状態:「環境設定が成されているのかどうか」が構成されているかどうか)
このように外的な要因と内的な要因が運動にどのように影響を与えているのかという視点から、アセスメントの際には運動連鎖を見ることで動きから外的要因と内的要因を辿り、示唆していくということがポイントになるのです。

生体においては、大脳以下の神経系の機能によって、環境に適応するために様々な反応が引き出されています。
例えば、寒い時には体温を上げるために震えが起こりますし、夜には寝て休みます。
この生体の反応は大脳によってもある程度コントロールができてしまいます。この大脳のコントールのことを資料では「新皮質バイアスの増減」としています。
例えば、夜更かしするやトイレを我慢する、仕事のストレスがあっても理由づけをして身体を無視して通勤するなどもこの一例でしょう。
大脳の前頭前野の役割は運動のプログラミングや、身体状況の把握(身体感覚からのボトムアップの情報収集と統合)です。
状態や状況を把握して、危険か危険ではないか、安全かどうかを判断するのにも一役かっています。これは以前の記事でも述べたステファン・W・ポージェス博士が提唱している「ニューロセプション」の領域であると考えることができるでしょう。
この場ではやりたくなくなる、この人とは一緒に働きたくないという感じもこのニューロセプションです。(一緒に働きたくなくても、極力話さないように対応したりしてなんとかやり過ごしますよね)
前頭葉ではこのコントロールができてしまうのです。
運動連鎖整体®︎ではこのようにコントロールしようとしているパターンも見ていきます。
このパターンは生活様式や反応、対人関係など様々な部分で見受けられます。結果として身体の症状や「偏位」が生じてしまっていることも往々にあるのです。
また、次節以降で運動連鎖整体®︎におけるパルペーションテクニックをご紹介するのですが、この「触れる」というテクニックによって、状態を紐解いていき、この身体内部と身体外部のアセスメントを行なっていくのです。
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Daisuke Nobuchika
・Bodywork Salon Compasses代表
・Somatic Neutrality®考案者
・Dibs®︎考案者
・Innate Pilates®︎考案者
・運動連鎖整体®︎考案者
・理学療法士
・Somatic Experiencing™ Practitioner(SEP)
・DARe Practitioner
・Somatic Experiencing™︎ マスタークラス Eye of the needle(Ⅰ&Ⅱ)修了
・Somatic Experiencing™︎ マスタークラス 慢性疼痛と症候群 修了
・Sequencing Workshop 修了
・Yoga Teacher(Kaivalyadhama Yoga Institute Certificate Course in Yoga修了)
・Somatic Resilience and Regulation®修了
・DE GASQUET®INSTITUT基礎講座、ぺリネのABC受講修了
広島県福山市出身。小学校から社会人にかけてバスケットボールに積極的に取り組み、全国大会やAll Japanに出場。高校生の時に人の役に立つ仕事に就きたいという思いと部活動のトレーナーが理学療法士であることもあり、理学療法士を志す。2011年、理学療法士免許習得。総合病院、整形外科病院在籍中にピラティス、ヨガに出会う。2017年ファンクショナル ローラー ピラティス マスタートレーナーコース修了。2022年SEP取得。同年SRR修了。2023年Kaivalyadhama Yoga Institute Certificate Course in Yoga修了。現在、理学療法士とサロンでのセラピストとして活躍中。 また、臨床中に患者様と関わる中で「病気になる前の予防の重要性」を感じ、『病気に囚われない予防の実現』を人生のテーマに日々邁進している。
Bodywork Salon Compassesとは
こころとからだの指針を紡ぐBodywork Salon Compassesではヨーガとピラティスなど心身のアクセスを通じた心身コンディショニング・姿勢の改善、タッチセラピー(マッサージ、整体)による痛みのケア(関節痛、首痛、頸部痛、首コリ、肩凝り、背部痛、腰痛、股関節痛、膝痛、足痛や足部の変形:外反母趾など)、循環改善・むくみケア、姿勢と歩きの改善を行っています。ホームページではセッションの内容や料金について詳細がわかりますので、「ホームページはこちら」をクリックしてのぞいていみてください。
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